大改装中の樹杜屋ショールーム(飛騨の宮川)ですが、下屋部分の屋根工事が進みISLA miniに限り(令和5年5月29日現在)可能となりました。これまでもISLA miniの展示はあったのですがISLAとISLA miniの2つの薪ストーブに対して1本の煙突で運用していて気密性の違いでISLA miniの引きが悪く不完全燃焼気味だったため、正確にその機体の性能を感じることができませんでした。一本の煙突に対して初のISLA mini独立運用となったのでいても立ってもいられず色々と実験をしています。実験結果を踏まえてISLA miniの特徴を解説していきたいと思います。
ISLA miniは市場の期待に応えた機種
PANADERO STOVEの人気機種はISLAであるというのは言うまでもありませんが、そのISLAの性能を感じた販売店はじめお客さんからISLAと同じで小さいサイズのものが欲しいと多くの声が寄せられました。パソコンなどでも0.1mmを争って性能そのままより小型であることを求めるように薪ストーブでも同じようです。薪ストーブ先進国である欧州では高性能小型機の需要が多く、性能高く小型化する開発が各メーカー争うように盛んに行われていてPANADERO STOVEもその分野に強くさほどの時を必要とせずISLA miniの誕生となりました。性能そのまま小型化するということは高い技術が必要で、よって小さな機種だから、性能も低く、値段も安いではないことが理解できたかと思います。
なぜ小さい機種の要望が上がったのか?
PANADERO STOVEの旗艦機ISLAは未利用人工林の放置問題や手入れ不足の山林から、里山保全などから得られる薪を利用して熱エネルギーにできるストーブで比較的大空間である古民家のお客さんが多くを占めていました。断熱性や気密性の低い古民家でも莫大な輻射熱と熱量で部屋が暖まる。それなのに使っている薪は安価な針葉樹であるという性能の良さが評判となりネットでの露出や雑誌への掲載で次第に新築などの現代住宅のお客さんの目に留まり、小さい機種があれば小さな我が家にも入るんだけどなーと要望が増えていきました。
ISLAと比べた実験結果(樹杜屋調べ)
樹杜屋自身もISLAのヘビーユーザーであるという事は日々の投稿でお気づきかもしれませんが、これまでの使用経験を生かしてISLAとISLA miniを体感で感じた比較をしていきたいと思います。独断と偏見まみれ間違い無いのですが、個人的に驚いたこともあったので樹杜屋調べという事でご容赦ください。ISLAと比べて炉内の幅も高さも小さく薪をあまり入れられません。また太い薪も入れられません。ISLAの炉の広さに慣れてしまっていて当初、天井に薪をぶつけてしまったり・・・ふとISLAの方が良い機種だと思ってしまったのですが使い込んでいくうちに同じように考えてはいけないと理解したあたりからこの機種の良さが見えてきました。
本体性能や薪に関して
ISLAの必要薪長さが50-60cmなのに対して、ISLA miniは薪長さが30-40cmで事足りました。薪の太さはISLAが直径240mm位までの丸太までなんでも入るのに対して、ISLA miniは100mm以下。空間的にはこれ以上の大きさも入るのですが、大きい薪や、詰め込みすぎると不完全燃焼が起きてしまいました。これはISLA miniの特徴で機体の気密性が高く、余計に空気が入って薪を燃やし過ぎないように吸気の量が絶妙に設計されている為だと思います。適正な薪の量(2本ほど)を入れた場合には綺麗な燃焼と抜群の持続力を発揮します。ある意味繊細ではありますが、とてつもない燃費の良さで驚きました。ISLAが薪を入れた量に対してパワーで反応してくれるのですが、ISLA miniは間違いは絶対に許さない、適正サイズの適正量の薪を入れた時にのみ綺麗な燃焼と高火力低燃費を約束してくれる燃やし方がわかりやすい薪ストーブだといった印象を受けました。
暖かさに関して、ISLAは本体からの放熱よりは輻射熱が強いイメージで前面3mくらいは室温が低くても暖かく感じられます。イメージとしては焚き火のような感じです。対してISLA miniは輻射熱はやや控えめで前方2mほどまで、本体からの放熱はとても強いです。作られた熱は全て室内に放出してやろうと言う執念のようなものが感じられました(笑)ショールームに来たお客さんにISLA miniの方が暖かいかも?とよく話すのですがこれが理由です。これらを考えるとISLA miniは八畳間など狭い空間や輻射熱より放熱が必要な断熱性能の優れた現代住宅にとても合うように思います。
設計の自由度の高さ
先日ISLA miniには2機種あると言う投稿をしたのですが、小型である事と同時に煙突の背面出し天板出しの存在、この組み合わせがありとあらゆる空間への設置を可能としました。また、背面出しによって直接煙突を外に出す事で見た目がスッキリするなど意匠にも考慮した設置ができるなど大空間を必要とするISLAの弱点を補う機種となりました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。この記事が機種選定の参考になれば幸いです。