神岡町A様 自宅でISLAmini体験レポート

昨年より開始した新サービス『自宅でISLA mini体験』を利用されたA様の報告をいたします。
A様は古民家で昔ながらの暮らしと文化を大切に暮らしている夫婦と子供二人のご家族です。ロケットストーブで調理をしたり、畑をしたり、発酵食品を手作りし、鶏やヤギや犬や猫を飼う、自然に寄り添い調和する生活をしています。昔ながらの囲炉裏を囲む生活や、ハワイでのサバイバル生活などをしたこともあるそうです。

そんなA様は数年前、火のある暮らしを現代でもと中古の薪ストーブを手に入れ、DIYで煙突を設置ました。運用から6年ほどの時が経ち中古のストーブは亀裂が入り危険な状態に。DIYで施工した煙突にも不安があり、今回樹杜屋ストーブの新サービス『自宅でISLA mini体験』と煙突診断を利用されました。

関連記事:「自宅でISLAmini体験」サービスとは

目次

煙突設計の診断

診断結果

まずは煙突設計の診断から。A邸煙突の懸案事項は4点。

煙突の質

既存煙突は市販の安価な物で、触ると凹んだり接合部がスカスカしたりして、振動や衝撃で外れやすい危険な状態になっていました。

煙突設計:長い横引き区間

DIYで煙突を施工する多くの場合、大工や板金などの建築技術がないために、家の外壁までの長い距離を横引きの計画をされます。煙突に横引きが区間あると、排煙の逆流や煤の閉塞が起きやすくなります。何よりもドラフト圧が足りなくなるケースが多いです。横引きの区間が長ければ長いほどリスクは高まります。

落雪による煙突ダメージ

また雪国で屋根の水下(軒先)に煙突を出すと雪庇などで煙突にダメージを受けたり最悪の場合煙突が折れて大事故につながります。

煙突設計:総シングル煙突

今回の場合、オールシングル煙突というのも懸案事項でした。市販の安価なシングル煙突はドラフト圧の不足や防火などにも不安が残りますが、今のところ火事や一酸化炭素中毒などの事故はしていないそう。

良い点

折れ曲がり部分に使われているT字の煙突部材は、煙突を分解することなく煙突掃除ができるようになっていて良いと思います。

煙突の対処と理想

煙突の対処方法としては樹杜屋ストーブできちっと施工するに限ります。とはいえコストの問題もあるので、現状で出来うる限りの安全対策の方法を提案。DIYでは難しい部分の一部は手助けするという形になりました。

いずれ煙突は総交換を考えているそうです。当面は安全性を最重要として、煙突の接合部は全てビス留め、煙突が可燃部に近い為可能な限り離隔距離をとり、ケイカル板や通気層など防火策を施し安全性を高めること。次点薪ストーブの性能のためドラフト圧を少しでも安定させるよう横引き部分の煙突に無理をさせない程度上り勾配にする。建物の外に出た後の煙突を可能な限り延伸する、という5点を提案しました。予算なども聞き、樹杜屋ならこのようにすると手書きの図面。許されるなら屋根出しの直上げが理想ですが、様々な理由で出来ないこともあります。

ドラフト圧の計測

初めて見る横引きの長さだった為、煙突に穴を開けさせてもらい(煙突は交換する前提で)興味津々でドラフト圧を計測しました。結果は16Pa。ISLA miniの場合は26Paは必要なのでドラフトが明らかに不足しており、煙突に改善が必要でした。

ドラフト圧不足で燃焼が悪くガラスが曇ったISLA mini

煙突横引きが長い従来通りの状態で、体験用のISLA miniを接続して燃焼を確認してみました。結果は上記画像の通りです。ドラフト圧の不足により正常な燃焼ができずガラスが真っ黒です。逆流まではせずなんとか燃えているといった様子です。このままの状態で使い続けることは、タールや木酢液の発生でストーブ本体や煙突にダメージを与える行為にほかなりません。バーミキュライトも割れる事になるでしょう。

不完全な燃焼は煤による煙道火災や煙突の閉塞による一酸化炭素の室内流入などの重篤な事故につながります。不完全燃焼状態で使い続けることは、煤つまりが激しく煙突掃除の回数が多くなるなどの弊害、つまりユーザーの手間と忍耐で解消できる弊害ではない、大変危険な弊害があるのです。DIYで煙突を施工する際は、その危険性を理解し、専門家に相談したうえで施工することを樹杜屋ストーブはおすすめします。

煙突延長後の燃焼

ドラフト圧不足の改善

ドラフト圧不足の弊害はさきほどの段落で述べたとおりです。そこで危険な状態を改善すべく、シングル煙突を臨時で一本延長する処置を施しました。するとドラフト圧は22Paまで上昇。及第の圧は26Paなので、少々不足です。実際ストーブの燃焼でガラスの曇りが取れたのを確認。しかし炎の具合を見るに燃焼にはまだいささか不安が残ります。

パーツ不足でもう一本煙突を伸ばすことはかないませんでしたが、外部煙突を二重断熱煙突にする事、煙突をさらに一本伸ばすことでA邸のISLA miniは正常な燃焼をするだろうと判断しました。

A様からの感想

A様に本サービスの感想をいただきました。

ISLA mini体験について

まず先に着火の容易さと立ち上がりの早さに驚きました。とA様談。使う薪の量が少ないのに熱量が強い事、前方に飛ぶ輻射熱が室温を上げることが難しい古民家でも暖かさを感じられる事。針葉樹が燃費良く高火力で燃焼する事。炎がとても綺麗など。最近の薪ストーブは高性能と聞いていたけれど今までの薪ストーブとの違いに驚きました。

何よりも自分の家で欲しい薪ストーブをお試し体験できるというサービスはどこにも無くそれが一番魅力でした。

煙突診断について

DIYで施工した事にずっと不安があって、かと言ってプロに聞けばダメだと言われるのはわかっていたので中々重い腰が上がりませんでした。とはいえ薪ストーブが壊れかけている状況から全てを診てもらおうと、機種の体験サービスと同時に煙突診断をしてもらいました。

ストーブ屋の設計で煙突を総交換する提案をされましたが、総交換しないまでも緊急性の高い問題…と現状での安全対策や危険箇所の指摘・対策の提案があり、リアルにためになるサービスだったと思います。どうしてそれがダメなことなのか、説明はわかりやすく薪ストーブにおける煙突の大切さが理解できました。現状で安全に薪ストーブを運用できるよう、指摘された点を改善し、樹杜屋ストーブさんに改めて煙突のチェックをして頂きたいと考えています。

ISLA mini火入れ前

ISLA mini導入の決め手

「自宅でISLAmini体験」サービスでは、1ヶ月の体験の後に導入するか否かをうかがいます。A様にはISLA miniの導入を決めてもらいました。決め手は色々あったそうですが大きな理由は2点、煙突診断で煙突の大切さを知ることが出来た事、本当に針葉樹が広葉樹のように燃える事(みんなここを疑っている)で薪の使用量が格段に減った事だそうです。その他の理由として、天板が広く使えること、床座生活なので低い位置に輻射熱の届くISLAminiは暮らし方ととても相性が良かったということをあげられました。

A邸へは貸し出し用ISLAminiから新品のISLA miniに無事交換完了。改めて火入れをしてもらい飛騨に新しいパナデロオーナーの誕生となりました。

ISLA miniの新たなオーナーが誕生しました

樹杜屋ストーブには貸出し用のISLAminiがございます。薪ストーブ用の既存の煙突設備をお持ちの薪ストーブユーザー様向け。樹杜屋ストーブがISLAmini本体をもって取り付けに伺います。

ご相談はサイト内問合せフォームより。

ショールームのご案内

完全予約制

樹杜屋ストーブにはPANADERO社の薪ストーブ実機を見学、実際の燃焼を体験できるショールームがあります。
間取り図や内装、外観などがわかる写真があれば具体的な相談にもお答えします。

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